6月28日〜7月2日までと、6月29日から7月5日までの間で上海にて2つのアニメイベントが行われておりました。どちらも昨年、一昨年と過去2年間当ブログでも取り上げたこともあるアニメイベントです。今年はその3年目にあたり、これまでの傾向から見るとある変化がありました。まずは『第3回中国国際マンガ・アニメ・ゲームフォーラム』からレポートしていきましょう。
(過去2年間あったはずのSEGAの大きな広告が無くなっていた)
このイベントの特徴としては、すでに何度か取り上げたことがあるかもしれませんが、『文化部』が主催しているということがポイントになってきます。
この文化部、何をしている機関なのかというと、簡単に言ってしまえばこのアニメイベントの名前にもあるとおり、『マンガ・アニメ・ゲーム』に関する許諾に何らかの関わりを持っている機関ということになりますが、実際にはテレビドラマやアニメなど映像に関することは『国家広電総局』、出版なら『新聞出版総署』といったように、それぞれ窓口があります。
なんとなく『文化部』と聞くとオールマイティーに何でもやってくれそうだ、と勘違いしそうですがそうではありません。細かい説明を省略しますが、少なくともゲームは文化部が窓口、という言い方ができます。そのため、今年も含めて過去3回の開催ではいずれもイベント会場にゲーム機がたくさん並ぶという、他のアニメイベントではあまり状況となっているのです。
話を戻すと、以上のことがわかっていればこのイベントにわざわざアニメやマンガといったコンテンツを出展させることに意味がないことがわかります。おまけに、会場内には商談スペースが設けられていましたが、来場者の休憩スペースに成り下がっていました。中国国内のどのアニメイベントもそうですが、どこもBtoC(※企業と一般の消費者)のため、ビジネスチャンスを広げたい企業が出展しても、日本のイベントのように出展したからといってその後のビジネスにつながっていく機会が少ないということをわかっていなければなりません。特に日本企業の出展は、イベント主催者側からするとイベント自体の盛り上げには欠かせないため必死に出展を求めますが、その後の保証(中国でのビジネス展開)などありません。おまけに「マンガ・アニメ・ゲーム」のどの分野をとっても規制が厳しいですからね。
そのため日本企業がこのイベントに出展することにそもそも何の意味があるのか考えさせられますが、そこは今回出展していた大手3社のゲーム会社、セガ、ナムコ、コナミの場合だとそれぞれ事情が異なってくるようです。
(セガとナムコがメインホールの約半分を独占)
なぜならこの3社がこの文化部主催のイベントに出展するということは、文化部へのアピールになるからだと思います。当然私が知る由もありませんが、「(文化部が主催するイベントに)出展しないと許可を出さないよ」という暗黙のうちにそういったやり取りがあったのではないでしょうか。3社とも(コナミは若干様相が違うようですが)、中国国内のゲーム市場で大きく展開しようとしている企業ですから、許可がもらえないと困ります。
もっともすでに中国国内では外国アニメの輸入が規制されているのと同じように、ゲームに対しても色々と規制がかけられているため、なかなか許可が下りないのが現状ですが、そんな状況をなんとか打開していこう、がんばろうといった気概を感じる今回の日本企業の出展でした。
セガはイニシャルDのver.4を、ナムコは太鼓の達人をローカライズ(中国語化)して出展しており、そうやって力を入れて取り組んでいるということは、ただ文化部へのアピールだけではなく、今後中国でのビジネス展開も見据えて、何かしらの戦略を持っているのだと思われます。どういったプランを持っているのか、一度、関係者の方に聞いてみたいものです(w;
(最高60分待ちの太鼓の達人。隣のプリクラは終日、人が並んでいた)
ちなみにコナミは昨年と出展内容に変化がなかったため、もっとガンバレといった感じです。セガも昨年オープンさせたアミューズメント施設『プレイヤーズアリーナ』が赤字でしょうから、しっかりとがんばってほしいものです。
さて、ゲーム関連団体に関しては以上のとおりですが、イベント会場では他に日本からイラストレーターさん本人を連れてきて作品の展示を行っている企業(団体?)がありましたが、何か収穫はあったのでしょうか?? これも気になるところです。
(坂井祥子さんというデザイナーさんだそうです。HPは
Xiang-Xiang.com)
(次回に続く)
「上海2大アニメイベントの結末(※6月)」
http://dashan.jugem.cc/?eid=251
(2006年度の記事)
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